【関心事】Adobeのセミナーに行ってきました。。。

クロスメディアAdobe Creative Suite 5 による、
デザイン業界/経営の将来
講師:アドビ システムズ 株式会社 
マーケティング本部 栃谷 宗央氏
http://www.central-gazai.co.jp/campaign2009.html#dus2010s


スマートフォン電子書籍絡みの話もあるということなので
珍しく面白そうだったので行ってみた。


結論から言うと、
Adobe自分とこのFlash売り込むのに必死だな〜』
って感じ?


結局Adobeが強く謳う今後の指針『クロスメディア(=ひとつのコンテンツ、データを多用途として、複数メディアへ出力する手法。
例えば広告の制作をするときに、ひとつのコンテンツやデータを作り、それをテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、モバイル、屋外広告といった複数媒体に対して、そのメディアに合ったかたちに内容や表現を変化させて展開する手法)』
へ対応する具体的な方法論というのが、セミナー聴いてる限りでは、
ただ単に、イラレインデザインで作成した紙媒体用データを、
Webや電子書籍用にXHTMLなり、ePub形式に書き出すというソフトの機能以外には見えなく、
なんとも貧弱な言い分だったのだ。


紙媒体用に作ったデザインをそのままWebで使えるわけがない。
紙には紙の、WebにはWebのデザインがある。
紙は物質そのものにインクを乗せるもので環境光によって見え方は違う。
Webは常に発光し続ける画面におけるデザインだ。
紙は手に取ったり駅貼りだったり何10m先からしか見ないようなものだったりするが、
Webは大抵画面から30〜50cmぐらいで見ると決まっている。
そんなお門違いのデザインを書き出しだけで流用しましょう、これがクロスメディアです、
とはどうにも狂っていると思うが。
Webを何も知らないデザイナーの書き出してきたXHTMLなんておれはとてもじゃないが触りたくもない。


いや、よくよく思い出したらWebへのデータの流用は具体的に喋ってなかった気がする。
さすがにそのへんは、詳しく語らず煙に巻いてたかも。


主に喋ってたのは、電子書籍の話だ。
ここで持ち出していたのは、以前から話題だった『WIRED Reader』の話。
http://tv.adobe.com/watch/xd-inspire/introducing-wired-on-ipad/
上のリンク先の動画のような、
まるでハリー・ポッターの魔法の本が現実の世界にやってきた!というが如し、
電子書籍の未来を語っていた。
これに、Flashのようなムービーとインタラクティブコンテンツで構成されたものを流用しましょう、
はい、インデザイン買いましょう、みたいな流れ?だったような。
そっちの方が、大方が納得しやすい内容だもんな。
むしろWebに無視されかけのFlashが活きる道はこっちしかない、みたいな。


しかし電子書籍にしろメディアの発達につれ、独自のデザインが開拓されていくだろう。
雑誌のデザインをそのまま電子雑誌に持っていけば、必ず失敗する。
おれはiPhoneの『産経新聞』は100%失敗だと思っているし、
R25』もまだまだ発展途上だ。
そういった意味でこのセミナーでAdobeの謳う『クロスメディア』という言葉が、
先を見据えているようで上っ面しか見据えていない、ただの軽薄な売り文句にしか見えなかったのだが。


ていうか、もしAdobeが描く魔法の絵本のビジョンが市場でメジャーなものになるとして、
デザイナーはいかほどの報酬を請求するのだろうか。それに対する市場での販売価格は。
『フリー』のひしめくWebとの対抗は。
考えなければならないことは、山のようにあるではないか。
紙の広告・雑誌を作り続けてきた参加者のデザイナーや経営者は、
そのへんどのように捉え、判断したのだろうか?